Vengineerの戯言

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Silicon die のコスト

はじめに

半導体チップ(1個のdie) のコストは、ウェハ1枚当たりのコストを ウェハ1枚から取れる Good Die で割ったものになります。

ウェハ1枚当たりのコストは、下記の記事の図(説明のために引用します)にあるようにプロセスによって違います。

Rising Wafer Cost

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  • 7N で、$9,344 (内、$2330は2020年での減価償却?)
  • 5N で、$16,988 (内、$4236は2020年での減価償却?)

です。時間が経てば、製造装置の原価償却されるので、それなりに下がります。

このウェハのコストを 1枚のウェハから取れる Good Die 数で割ればいいのです。

ウェアからどのくらいの Die が取れる?

下記のサイトでは、チップのサイズとウェハーのサイズを指定すると、何個の Die が取れるかを教えてくれます。

www.silicon-edge.co.uk

例えば、現時点での最大サイズの die は、26 mm x 33 mm = 858 mm2 を 30インチのウェハで作ると、62 個取れます。 62個全部が Good Die (そんなことは絶対にありえませんが)であったとして、

  • 7N では、9344$/62個 = 150.71 $
  • 5N では、16988$/62個 = 274 $

になります。仮に、半分の 31個が Good Die であれば、この倍の値が die の コストになります。

5 mm x 5mm 、10 mm x 10 mm の silicon die のコストは?

  • 10mm x 10mm の die は、30インチウェハーでは600個取れます。5Nでは 16,988$ / 600 個 = 28.13 $、7Nでは 9344$ / 600個 = 15.73 $。このぐらいのサイズだと、Fab Yield (歩留まり)は90%ぐらいになるようなので、100/90 = 11% ぐらいコストがあがります

  • 5mm x 5mm の die は、30インチウェハーでは2443個取れます。このぐらいのサイズだと、Fab Yield (歩留まり)は95%ぐらいになるようなので、100/95 =5.3% ぐらいコストがあがります。5Nで8ドルぐらい、7Nで4ドルぐらいになります。

おわりに

チップのサイズ、ウェハサイズ、プロセス、Fab Yieldが分かれば、die のコストは分かります。28Nであれば、5 mm x 5 mm で 2ドルを切るぐらいです。

このTwitterにある図の Apple M1 / M1 Pro / M1 Max の dis zie

  • M1 : 10.99 mm x 10.96 mm = 493個 => 16.988 $ / 493 = 34.46ドル
  • M1 Pro : 18,94 mm x 12.94 mm = 234個 = 16.988 $ / 234 = 72.59ドル
  • M1 Max :19.86 mm x 21.61 mm = 131個 = 16.988 $ / 131 = 129.68 ドル

これらの金額に Fab Yield を変えると、各 die のコストが出てきます。