はじめに
昨日の半導体チップ雑談でちょっと話題になったものから、IntelのFinFETなCPUについて振り返ってみたいと思います。
Intel FinFET CPU:年代別まとめ
Intelは2011年からFinFET技術を採用したCPUを製造・販売しており、現在に至るまでデスクトップ、モバイル、サーバーなど幅広い製品で性能と電力効率を向上させてきました。以下では、Intel FinFET CPUを年代別にまとめ、各世代の特徴と代表的な製品を紹介します。(サーバー用の除く)
2011年:FinFET デビュー
- 第2世代Coreプロセッサー(Sandy Bridge)
2012年:Ivy Bridge登場
- 第3世代Coreプロセッサー(Ivy Bridge)
- 22nmプロセス製造による性能と電力効率の向上
- グラフィック性能の大幅強化
- 主な製品:Core i7-3770K (3.9GHz)
- 最高ターボ動作周波数:3.9GHz
2013年:Haswellで消費電力大幅削減
- 第4世代Coreプロセッサー(Haswell)
- 22nmプロセス製造でさらなる省電力化を実現
- グラフィック性能の向上、新機能の追加
- 主な製品:Core i7-4770K (3.9GHz)
- 最高ターボ動作周波数:3.9GHz
2014年:Broadwellで微細化
- 第5世代Coreプロセッサー(Broadwell)
- 14nmプロセス製造による性能と電力効率の向上
- 内蔵グラフィック性能の大幅強化
- 主な製品:Core i7-5770K (4.0GHz)
- 最高ターボ動作周波数:4.0GHz
2015年:Skylakeで14nmプロセス成熟
- 第6世代Coreプロセッサー(Skylake)
2017年:Kaby LakeとCoffee Lakeでさらなる進化
第7世代Coreプロセッサー(Kaby Lake)
- 14nm+プロセス製造によるマイナーアップデート
- 性能と電力効率の微小な向上
- 主な製品:Core i7-7700K (4.5GHz)
- 最高ターボ動作周波数:4.5GHz
第8世代Coreプロセッサー(Coffee Lake)
- 14nm++プロセス製造による大幅な性能向上
- コア数とスレッド数の増加
- 主な製品:Core i7-8700K (5.0GHz)
- 最高ターボ動作周波数:5.0GHz
2018年:Coffee Lake Refreshでマイナーアップデート
- 第9世代Coreプロセッサー(Coffee Lake Refresh)
- 14nm+++プロセス製造によるマイナーアップデート
- 性能と電力効率の微小な向上
- 主な製品:Core i9-9980HK (5.0GHz)
- 最高ターボ動作周波数:5.0GHz
2019年:Comet Lakeで14nmプロセス最終世代
- 第10世代Coreプロセッサー(Comet Lake)
- 14nmプロセス製造の最終世代
- 性能と電力効率の微小な向上
- 主な製品:Core i9-10900K (5.1GHz)
- 最高ターボ動作周波数:5.1GHz
2020年:10nm SuperFinプロセス製造
2021年: 14nm+++ と 10nm Enhanced SuperFin、改め、Intel 7
2022年: Intel 7 (10nm Enhanced SuperFin)
2023年: Intel 4登場
ここからは、未来なので確定ではない
Intel 3
- 2024 : Core Ultra Series-2 : Arrow Lake (Compute Die)
- 2025 : Lunar Lake (Compute Die) は、TSMC N3B
Intel 20A (PowerVia+ RibbonFET)
- 2025 : Panther Lake (Compute Die)
Intel 18A (PowerVia+ RibbonFET)
14nm が長かった理由って、何?
- 14nm => 14nm+ => 14nm++ => 14nm+++ => 14nm++++
- 10nm SuperFin (改め、Intel 7)
- Intel 4 => Intel 3
- Intel 20A => Intel 14A
と、14nm が続いたのは、下記のように、10nmのEUV 無しの技術に固執したからのようですね。
「10nmの時には、最初にEUVなしにタイトなピッチの回路を構成しようとしたことが間違えの始まりだった。結局それが止められずにリセットする必要がでてしまったのだ。そこから多くのことを学び、今はよりよくなることができたと考えている」https://t.co/1HGUeOhjUG
— Vengineerの妄想 (@Vengineer) 2024年7月14日
その結果、CPUの動作周波数が上がらない、歩留まりが悪いなどの理由からなかなか量産化できなかったようです。
の記事によると、
- 2014: TICK : 14nm 、第5世代Core Broadwell
- 2015 : TOCK : 14nm、第6世代Core Skylake
- 2016 : TOCK+: 14nm、第7世代Core Kaby Lake
とあります。Kaby Lake が始まりだったんですね。
この記事では、
「TICK-TOCK」の2世代ペースから「TICK-TOCK-TOCK+」と3世代ペースになると。
- 14nm+ : FinFETのフィンの形状が改善, 12%ほど性能向上
PC Watchの後藤さんの記事「Intel「第8世代Core」に見る、微細化準備が整っても、製品を移行させない/させたくない理由」によると、
かつては、プロセスを微細化することは、性能/動作周波数の向上につながっていた。しかし、現在は新プロセスの焦点が電力削減にあるため、微細化によって必ずしも性能は向上しない。Intelのプロセスで言えば、トランジスタあたりの性能では、10nmよりも拡張版14nmの14++プロセスの方が高くなる。言い換えれば、性能面でも微細化の意義が薄くなっている。
とありますね。
こうした技術背景があるため、Intelにとってプロセスの微細化を急ぐ意味は以前よりはるかに薄れている。つまり、現在のプロセス技術の状況では、10nmのCannon Lakeを急いでも、あまりうまみがない。また、ロードマップでは、IntelのCannon Lakeは、14nmのCoffee Lakeとしばらく併存するが、この理由も同様だ。
おわりに
昨日、色々と調べたんですが、Google Gemini に聞いたら、上記の内容 (2023年)までは一瞬で出てきました。
過去の正しいデータがあれば、本当に一瞬で出てくるのですね。
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