Vengineerの戯言

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Cost per Waferをもうちょっと調べてみた

はじめに

Silicon Waferのコストについて知りたかったので、Google君に聞いたら出てきた下記の資料。

Cost Per Wafer

INTEGRATED CIRCUIT ENGINEERING CORPORATION の資料模様。1980年から1995年と今となってはかなり古いが全体像を学ぶにはよかったので記録として残します。

Total Cost Per Wafer

Waferのコスト構造は、

  • Mfg Cost of Good Sold (売上原価) : (Non-Labor Mfg + Mfg Labor)
  • S, G & A (Selling, general and administrative expenses)
  • R & D
  • Repreciation (原価償却)
  • Taxes & Other

売上原価が変動費(variable costs) で、それ以外が固定費(fixed costs)

売上原価には、

  • the cost of consumables,
  • spare parts
  • materials (including cleanroom garments, etc.),
  • labor
  • production control and facilities (operating power for the plant, deionized water systems, etc.)

も含まれる

火曜日の Silicon die のコスト に説明のために引用した下図(今回も説明のために引用します)。減価償却とその他になっている

f:id:Vengineer:20220119092556p:plain

上記の資料の FIgure 2-4 に

  • Mfg. Cost of Goods Sold
  • S, G & A
  • Depreciation
  • R & D

の1978年から1995年までの推移が載っています。これを見ると、

  • Depreciation
  • R & D
  • Mfg. Cost of Goods Sold
  • S, G & A

の順番です。特に、Depreciation は急激に伸びています。また、R & Dも Depreciation と同じ感じで伸びています。上記の表でも Depreciation (減価償却) は伸びているのがわかります。 その他も大きく伸びているのは、R & D の伸びが大きいのではと思います。

ASML の Investor Days 2021 の資料を眺めて

半導体製造装置メーカーの ASML が2021年9月21日に行った Investors day 2021 の資料を見つけたので眺めてみました。

  • Business Model and Capital Allocation Strategy

のPage 4. に R & D と Capex (設備投資)のグラフがあります。2010年から2020年までです。2010年の R & Dが0.5B€、設備投資 が 0.1B€、に対して、直近の2020年の R & Dが 2.2B€、設備投資が 1.0B€です。10年でR & Dは 4.4倍、設備投資は 10倍になっています。

Page.18 には、2020年のfinacial model が載っています。

  • Total sales : 14.0B€、(内、Installed base Management : 3.7B€、System sales : 10.3B€)
  • Gross margin : 48.6 %
  • R & D : 16%
  • S, G & A : 4 %
  • CapEx : 7 %

とあります。

TSMC Anual Report 2020

TSMC2020年 の Annual Report 2020 も見てみました

Page. 42 に、R&D Expenditures のグラフがあります。

  • 2019 : 91,418746 NT$ thousands
  • 2020 : 109,486,089 NT$ thousands

ちなみに台湾ドルは、4.15円とすると、

  • 2019 : 379,387,795,900 円 = 約3800億円
  • 2020 : 454,367,269,350 円 = 約4500億円

ASMLの 2020年の R & Dの2.2B€は、日本円(130円/€)で2860億円になります。

おわりに

Cost per Waferということでちょっと調べてみました。現状では、設備投資の減価償却とR&D費が非常に大きくなり、その結果、1枚当たりのWaferコストも増えているようです。 ちなみに、30インチの生のWaferコストは、下記の $400 のようです。

TSMC 7N の 30インチのWaferが $9246、5N で$16988 ですから、生の Waferコストは主要な要因にはなっていないんですね。

ちなみに、生のWaferは下記の5社がTSMCに供給しているようです。